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「なに、切れてるつて?」
房一は目を輝かせて云つた。
房一は熱心に愛想よく椅子をすゝめた。
「おい、ビールは冷やしてあるかい」
「よし、それでは預つとかう」
練吉はちらりと眺めた。そして、彼のところへ対診を頼みに来た時にも気づいた、あの当惑したやうな小心な表情が今も房一の上に現はれるのを認めた。それはたしかに観物だつた。この男に、こんな気の小さいところがあらうとは!そして、こんなに丸出しにして見せるとは!
風呂にゆつくりとつかつた。
「御病人はどちらで?」
房一は目を上げて何か訊きたさうにした。それを押へるやうに、
彼は、医師検定試験といふものが実際は医専を出ることなんかよりはるかにむつかしいものだと知つてはいたが、しかし、正規な教室で得るところのものは難易にかゝはらない何か別の正統さといつたやうなもの、より科学的な、――つまり、医者らしさだといふことを、心のどこかで信じていた。それが、房一には欠けている、といふ風に思はれた。
「馬子まごにも衣裳つて云ふから――」と云つたほどである。
と、下の男は睨み上げた。